第2回 最後の料理長がHACHIへ
今から約14年前、面接で向き合った私には、彼の年齢と充分過ぎるキャリアは勇気のいる決断でした。
彼とは。。。
平成21年惜しまれつつ閉館した仙台駅前にあった老舗「仙台ホテル」
ホテル2階にあったイタリア料理店ペルリーノ。
最後の第5代料理長だった伏見貞夫、当時45歳。
一流ホテルの料理長とは言え、年齢的にも転職活動が難航していた彼にとって面接は相当なストレスだったようです。
表情の硬さに緊張が伝わる面接でした。
私は『あのエスカルゴ大好きだったんだよね』
とペルリーノで一番印象深かったメニュー「エスカルゴの胡桃ソース焼き」について尋ねました。
「エスカルゴの胡桃ソース焼き」のこだわりを語りながら、
伏見は笑顔でようやくリラックスしたようです。
面接の緊張がほぐれました。
エスカルゴと言えばブルギニョンバターでパセリの緑色のイメージ。
しかし、あのペルリーノのエスカルゴはくるみソース。
伝説のイタリア料理店ペルリーノ、初代の料理長ミノッチョ氏から伝わる独特のレシピだったそうです。
とても珍しいエスカルゴです。
そんなこだわりを語る彼をみて、
『あのエスカルゴ、いつかHACHIで復活して欲しいな』
という期待も込めて、私は彼の採用を決断しました。
その後、伏見はHACHIの料理クオリティに大きな刺激を与えてくれました。
HACHI名取本店の料理長など歴任し、現在はHACHIの総料理長を務めています。
そんな彼がHACHIのメニューにペルリーノのエスカルゴを伝承してくれました。
レストランHACHI代表 角田秀晴
~「第3回 HACHI長町店でご賞味を」に続く~